http://www.iza.ne.jp/kiji/events/news/200306/evt20030610300002-n1.html
2020.3.6 10:30
会社員などから将来受け取る給料を債権として買い取り、給料日前に事実上、現金を貸し付ける「給料ファクタリング」の被害相談が相次いでいる。存在はSNSやインターネット掲示板を中心に広がり、業者側は「前借り感覚の気軽な資金調達方法」とアピール。だが法規制がないことを背景に、多額の手数料を要求されるトラブルも目立つ。専門家は「実質的なヤミ金だが、周囲に被害を相談できない人も多い」としている。(杉侑里香)
「手軽で利用したが支払えなくなって…。会社に連絡されたらどうしよう」
2月下旬、大阪府内に住む20代後半の男性会社員から司法書士事務所へSOSが届いた。男性は給料ファクタリングを利用し、月給のうち7万~8万円分を業者に債権として譲渡。手数料を引いた分を先に現金として受け取り、給料日後に返済することを繰り返していたが、やがて資金繰りに行き詰まったという。
ただ男性が給料日前に受け取っていたのは約5万円。2万~3万円が手数料で差し引かれていた形だ。金利換算では年率が500%超となり、利息制限法の上限(最大20%)を大きく上回っていた。
ファクタリングとは従来、事業者が取引先への売掛金を債権として第三者に売却し、決済日前に当面の資金を調達する手法だ。法規制がなく、中小企業などで広く実施されてきたやり方だが、これを勤務先から将来支払われる給料に転用し、個人向けに行うのが給料ファクタリング。契約上の金銭の貸し借りではないため、利息制限法や貸金業法などに縛られず、ネット上には「ブラックリスト入りの方でも大丈夫」などとの文言も目立つ。
その実態について「ヤミ金にほかならない」と指摘するのは植田勝博弁護士だ。一般的なファクタリングは、大半が「利用する会社-取引先-業者」の3者間の合意で行われる。これに対し、給料ファクタリングは「利用者-業者」の2者間で進み、給料債権の譲渡も名目だけ。そもそも労働基準法は、給料は労働者への直接払いが原則で、「事実上は利用者と業者間の金銭の貸し借りだ」(植田弁護士)。
業者側が「貸金業ではない」と主張しているため、相談先が分からない人も少なくないとみられる。昨年から全国で相談が相次ぎ、金融庁は注意喚起に乗り出した。
多重債務者を支援する「大阪クレサラ・貧困被害をなくす会」(大阪いちょうの会)にも今年に入り、相談が急増。同会ヤミ金対策委員長の前田勝範司法書士によると、他の消費者金融などで借金がある多重債務者の利用が多いとみられる一方、全容は今も謎が多い。前田氏は「被害事例を集め、実態把握や刑事告発につなげていきたい」と話している。
大阪いちょうの会は、7日午前10時~午後5時に弁護士や司法書士による電話相談会「ファクタリング被害110番」(ソースでご確認下さい)を実施する。相談無料。
2020.3.6 10:30

会社員などから将来受け取る給料を債権として買い取り、給料日前に事実上、現金を貸し付ける「給料ファクタリング」の被害相談が相次いでいる。存在はSNSやインターネット掲示板を中心に広がり、業者側は「前借り感覚の気軽な資金調達方法」とアピール。だが法規制がないことを背景に、多額の手数料を要求されるトラブルも目立つ。専門家は「実質的なヤミ金だが、周囲に被害を相談できない人も多い」としている。(杉侑里香)
「手軽で利用したが支払えなくなって…。会社に連絡されたらどうしよう」
2月下旬、大阪府内に住む20代後半の男性会社員から司法書士事務所へSOSが届いた。男性は給料ファクタリングを利用し、月給のうち7万~8万円分を業者に債権として譲渡。手数料を引いた分を先に現金として受け取り、給料日後に返済することを繰り返していたが、やがて資金繰りに行き詰まったという。
ただ男性が給料日前に受け取っていたのは約5万円。2万~3万円が手数料で差し引かれていた形だ。金利換算では年率が500%超となり、利息制限法の上限(最大20%)を大きく上回っていた。
ファクタリングとは従来、事業者が取引先への売掛金を債権として第三者に売却し、決済日前に当面の資金を調達する手法だ。法規制がなく、中小企業などで広く実施されてきたやり方だが、これを勤務先から将来支払われる給料に転用し、個人向けに行うのが給料ファクタリング。契約上の金銭の貸し借りではないため、利息制限法や貸金業法などに縛られず、ネット上には「ブラックリスト入りの方でも大丈夫」などとの文言も目立つ。
その実態について「ヤミ金にほかならない」と指摘するのは植田勝博弁護士だ。一般的なファクタリングは、大半が「利用する会社-取引先-業者」の3者間の合意で行われる。これに対し、給料ファクタリングは「利用者-業者」の2者間で進み、給料債権の譲渡も名目だけ。そもそも労働基準法は、給料は労働者への直接払いが原則で、「事実上は利用者と業者間の金銭の貸し借りだ」(植田弁護士)。
業者側が「貸金業ではない」と主張しているため、相談先が分からない人も少なくないとみられる。昨年から全国で相談が相次ぎ、金融庁は注意喚起に乗り出した。
多重債務者を支援する「大阪クレサラ・貧困被害をなくす会」(大阪いちょうの会)にも今年に入り、相談が急増。同会ヤミ金対策委員長の前田勝範司法書士によると、他の消費者金融などで借金がある多重債務者の利用が多いとみられる一方、全容は今も謎が多い。前田氏は「被害事例を集め、実態把握や刑事告発につなげていきたい」と話している。
大阪いちょうの会は、7日午前10時~午後5時に弁護士や司法書士による電話相談会「ファクタリング被害110番」(ソースでご確認下さい)を実施する。相談無料。