東通原発
建設再開へ 福島第1原発事故以来、東電で初
毎日新聞 2018年6月29日 19時55分(最終更新 6月29日 23時00分)
東京電力ホールディングス(HD)は29日、建設作業が中断している東通原発(青森県東通村)について、今年度後半から敷地内の地質調査を始めると発表した。東電が2011年の福島第1原発事故後、建設再開に動き出すのは初めて。
同原発は、1号機(138.5万キロワット)が11年1月に国の新設認可を受けて着工したが、原発事故後は世論に配慮して建設を中断。現状は更地のままだ。
一方、福島事故を受けた規制強化で安全対策コストが膨らみ、地元同意のハードルも高まる中、電力各社も原発の新設を検討しづらい状況だ。そこで東電HDは、既に新設認可を得て「建設中」の段階にある東通原発の共同建設・運営を各社に提案。
コストを分担しつつ新たな電源を確保し、建設や運用に関する最先端のノウハウも得られるとアピールしており、東電HDの小早川智明社長は29日の記者会見で「より安全性に優れたものをつくっていきたい」と意欲を示した。
今回始める地質調査は、今年度後半から20年度にかけ、約450ヘクタールの敷地内でボーリングを行い、地質や地質構造を調べる。敷地内に原発を何基建設できるかなどを分析し、調査結果は他の電力会社にも提供して共同事業への参画を判断する材料にしてもらう。東電HDは「20年度ごろまでに共同事業体の枠組み構築を目指したい」としている。
ただ、他電力は巨額の廃炉・賠償費用を抱える東電と組むことを警戒、参画に二の足を踏んでいる。東電HD株式の過半を握る政府には、共同事業化もテコに国内原発事業の再編を進めたい思惑もあるが先行きは不透明だ。【袴田貴行】
東京電力東通原発予定地
