・『空飛ぶ車イス ~元ラガーマン、世界39カ国の旅~』
http://www.dreamarc.jp/archives/422/ 木島英登著IMS出版
・「恋する車イス」
http://www.jscf.org/jscf/SYOHYOU/kijima4.htm 木島英登著、徳間書店
★ (書評) 中島虎彦
副題として、「Sex in wheel chair 未経験のまま下半身不随になった僕の物語」とある。
キージー、こと木島氏は1973年、大阪府生まれ。府立池田高校3年のとき、ラグビー部の
練習中に下敷きとなり、胸椎11番の脱臼・骨折して脊髄損傷となる。以後、車いすの生活。
その後、神戸大学卒業。学生時代からアメリカにホームステイし英語を身につけ、以後世界
中を旅するようになる。現在までに60ケ国以上。卒業後は広告会社「電通」に入社。
七年間働いたあと、退社して自ら障害者問題の研究所を旗揚げしている。
この本では過去から現在までの女性遍歴を赤裸々に語っている。車イスで復学した
高校時代から、神戸大学時代、米国研修時代、電通時代、退社後まで、さまざまな
シチュエーションでのノウハウを紹介している。
たとえば病院、ラブホテル、カーセックス、自宅、ソープランド、テレクラ、ホームステイ先、
フィピンパブ、同性愛、性具、ホームページなどなど、その探究心の旺盛さには驚き呆れる
ばかりだ。まるで「車イスの性の狩人」という感じである(笑)。本文から、ただただ口あんぐり
となる引用をどうぞ。
「『どうして頑張れたんですか?』とよく聞かれる。『女性にモテたかったから』と答えている。
(中略)訪れた国よりアタックした女性の数のほうがはるかに多い」
「受傷してから、宗教の類の誘いは多い。(中略)嫌だと感じながらもおとなしく、
我慢をして、されるままにしていた。(中略)ありがとう。でも僕はそくまでやわじゃないんです
よ。(中略)いろいろな人が、車イスの人は不幸だと決めつけ、これしろ、あれ買え、と言って
くる。冗談ではない。僕は自分で決めたいんだ」
「大学生のとき、(中略)Hがしたい。とにかく童貞を捨てたかった。(中略)ちょっとでも関わ
る人、ちょっとでもかわいいと思う人、ちょっとでも色気があってヤラせてくれそうに見える
人、すべてにアタックした。下手な鉄砲だが、数を打つ戦法を取った。
フラれたら、固執して粘ることより、すぐ次の女性に的を切り替える。アタックもするのも
早ければ諦めるのも早かった。あまりにも想いが強くなりすぎるとフラれることが辛くなるの
で、早くからアタックした。いずれにせよ節操がないこと、このうえない。
僕自身に魅力がないのか、真剣さが足りないのか、気持ちの余裕のなさがガッツいた
態度として出ていたのか、告白が成功することはなかった」
「エレベーターで(中略)つまり関心がないのだ。車イスの僕のことを気にする人はいない。
世の中そんなものである。」
「どうやって僕はセックスするのか? 興味のある人も多いだろう。(中略)痙性や、腹筋など
を総動員して勃起させることは書いた。(中略)脈拍をわざと上げるのも技術の一つだ。
(中略)ハアハアとわざと息を荒げれば脈拍は自動的に上昇する。(中略)脈拍を挙げると
いうことで脳が性的に感じていると勘ちがいを起こし、よりエクスタシーを得やすくなる。
(中略)挿入するのも女性に上になって入れてもらわなければならないし、油断するとすぐ
萎えてしまうので素早く包みこんでもらわないといけない。途中で止めず、一気に奥まで、
そこできっちり固定をして締めてもらって初めて成功する」
「ソープランド。(中略)やはり、車イスは厄介者として見られるのだ。呼び込みも声をかけて
こないし、店に入って顔色を変える女性もいる。はっきり入店拒否されることもあれば、
障害者には理解があるのよ的な同情丸出しの偽善臭に辟易することもある。
(中略)お金を払ってまで、こちらが気を使わねばならないなんてコリゴリだ。
結局、風俗は僕の肌に合わなかったということだろう」